漢のヴォーカル!

ジャズ界ではヴォーカルと言えば圧倒的に女性天下。数も人気も断然女性のほうがありますな。ま、ジャズヴォーカルとなれば自然とスタンダードナンバーが取り上げられることになります。そのスタンダードが殆ど女目線でのラヴソングなんですから無理も無いことかと。シークレットラヴなんて曲を男が歌う訳にもまいりませんしねえ。
と言う訳でなんとなく分の悪い男性ジャズヴォーカルですが、今夜は選りすぐりの名人を3人ご紹介。

・Come Fly With Me (Frank Sinatra, Sinatra At The Sands)
ご存知シナトラ。この人をジャズヴォーカリストと称することに抵抗を示すヒョーロンカの類いの輩も多いですが、そんなことはどうでもよろしい。さすがに俳優としても大成功した人ですから、歌詞の表現力、ステージングなど凡百の歌手が足下にも及ばない力量を発揮します。本録音はカウントベイシー楽団とのライヴ共演。

・What are You Doing the Rest of Your Life (Grady Tate, All Love)
グラディの本職はジャズドラマーです。ピアノトリオからビッグバンドまで、古めのスタイルからモダンまで何でもござれの凄腕で、アメリカジャズ界の重鎮中の重鎮。私も昔から大ファンです。ジャズ以外にも、サイモン&ガーファンクルの有名なセントラルパークライヴなどにも参加しています。そんな偉大なドラマーでありながら、歌がまた味わい深い。渡辺貞夫さんのフィルアップザナイトというアルバムにも歌で参加したりしています。

・For All We Know (Nat King Cole, Vocal Classics & Instrumental Classics)
ナットキングコールショーのホストとしても有名なキングコール。もともとはピアニストです。40年代に自身のピアノ、ギター、ベースというトリオを率いており、ドラムレストリオの先駆け的な存在でもありました。そのトリオ時代から弾き語りをしていたので歌手としての芸歴も長いですが、50年代からはほとんどピアノは弾かなくなったように思います。

無伴奏曲集

あまりに暑いのでシンプルな音楽を。とはいえ、楽器編成こそ無伴奏でシンプルですが中身は超濃厚。

・ブリテン:無伴奏チェロ組曲第1番 第一の歌(演奏:ロバートコーエン)
・ヒンデミット:無伴奏ヴィオラソナタop.25-3 第4曲(演奏:今井信子)
・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ガボット(演奏:アルトゥールグリュミオー)

ブラジルポピュラー音楽の原点

日本ではボサノヴァに人気が集中しているようですが、ブラジルには他にもサンバ、サンバカンサォン、MPBなど色んなタイプのポピュラー音楽があり、夫々に独特の魅力がありコアなファンもいらっしゃるようです。それらの音楽は勿論素晴らしい。素晴らしいんですが、それら全てのブラジルのポピュラー音楽の原点とも言える音楽を是非ご紹介したいと思い今週の選曲をしました。それが「ショーロ」です。ジャズの歴史におけるラグライムとデキシーランドジャズを足したような位置づけと言えばいいでしょうか。ブラジルでも19世紀には白人の持ち込んだクラシックが上流階級のたしなみとして愛好されていたようですが、そういったクラシック音楽を咀嚼し、より一般庶民の感性に近い形の音楽を作り上げた作曲家や演奏家達が居ました。シキーニャゴンサーガ、エイトールヴィラロボス、ハダメスジナタリ、ピシンギーニャと言った人たちです。
本日はそんなショーロを3曲。

・Vou Vivendo (Benedito Lacerda E Pixinguinha)
・Marreco Quer Água (Camerata Carioca)
・Vibracoes (Jacob Do Bandolim)

ブラジルのシンガーソングライター集

ブラジルの学校教育では音楽の授業というのはないんだそうで。音楽なんてものは好きなヤツが勝手に楽しむもんだ、という感覚なんでしょうな。私もかねがね日本の音楽教育というものには大きなギモンがありまして、学校で音楽の授業をやるのはまあいいでしょう。問題は、それを採点科目にしているという点なんですよ。何の為に優劣を評価するのかが全く分からない。好きなら好きでいいし、嫌いなら嫌いでよい。学校は触れる機会を与えるだけで十分ですよ、音楽なんて。体育についても同様に思います。
さてそんなブラジル、人々は実に音楽好き。コンサートなんかでも演奏中にも関わらず「いいわー!」とか「すばらしいねー」なんていう独り言を盛んに口にします。一緒に歌っちゃったりするのも普通ですし。有名な曲だと大合唱状態になります。信じられないでしょ? でもほんとです。
そういうお国柄を反映してでしょうか、ブラジルからは特に戦後、もの凄く質の高いシンガーソングライターが沢山出ています。ボサノバでもそうでしたが、特にMPB(Musica Popular Brasileira)と呼ばれる分野に大物が揃っています。今夜はそんなMPBから3曲。

・Coração Vagabundo (Caetano Veloso & Gal Costa, Domingo)
現代ブラジル音楽界の最高のカリスマ、カエターノヴェローゾと女性シンガーのアイコン、ガルコスタのデュエット。

・Casa Forte (Edu Lobo, Sergio Mendes Presents Lobo)
エドゥロボは自身のパフォーマンスもよいですが作曲者としての存在のほうが大きいかも知れません。Ponteio, To Say Goodbye, Arrastãoなどなど、上げればキリがない名曲の数々を世に送り出し、またそれらの曲を歌ってエリスレジーナという不世出の大歌手が飛躍を遂げました。

・Alagoas (Djavan, Djavan)
ジャヴァン。日本でもっともっと聴かれてもいい人だと思います。わりと初期の作品から。

とりとめもなく

今週は関連無しの3曲を。

・Is This Love (Bob Marley)
バランサのマスターはボブマーリイなんて聴くのか?とお思いでしょうが、聴きます。というか、25年ほど前にいやって程聴いた時期がありました。その後あまり聴きませんが夏になるとやっぱり思い出すサウンドなんですよねえ。この人もため息がでるほどのワン&オンリー型のミュージシャンですね。楽器も歌も別に巧い訳じゃあない。が、他の誰にも出しようも無いサウンドを紡ぎだした不世出の天才。

・The Midnite Sun Never Sets (Count Basie)
この曲のソリストのマーシャルロイヤルさんは、アドリブこそ命、と思われがちなジャズ界にあって、殆どアドリブソロをやらないにも関わらず、他の誰にも無いその音色とニュアンスで全盛期のカウントベイシー楽団に君臨した偉大な偉大なアルトサックス奏者です。この人の晩年の生を日本で見たことがありますが、そのあまりの音の大きさ(音の圧力)に文字通り椅子の背もたれに押さえつけられるほどの衝撃を受けたことが昨日のことのように思い出されます。

・Recado Ao Poeta (Tania Maria)
アメリカで有名になったピアニスト兼シンガーのタニアマリア。実はれっきとしたブラジル人です。瞬発力豊かなピアノとボーカルが心底心地よい素晴らしいミュージシャンですが、その存在の大きさに比べると日本での人気はそれほど高くないのが不思議です。
プロフィール

バランサ

Author:バランサ
店名はバランサと読みます。吉祥寺では貴重な、エリア的にも内装的にもとても落ち着いた店ですので、ぜひお立ち寄りください。
文筆のプロ選定の古書販売「本棚屋」、毎週木曜はネットラジオの公開生放送、その他月イチ程度でクラシックかジャズの企画ものライヴなど、いろんな企画を敢行しております。

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